3月中旬


あれからというもの、大和は私と共に生活するようになった。私はまだ、両親と妹と4人で暮らしてきたこの空間に、誰かが加わるということに未だ違和感が拭えずにいる。というのに、うちの両親ときたら、あまりにもあっさりと大和を受け入れた。…いや、そもそも居候を了承した時もあっさり過ぎたけど。まるで、自分たちの娘が久々に帰ってきた、っていうくらいの馴れ馴れしさだ。あんたらそれでいいのか。警戒心とか、もっとないのか。いくら娘達の友達だからって、女だからって、それは不用心すぎじゃないだろうか。実際にそう問いかけたら、お母さんが、『疑り深い瑞穂が受け入れた子なんだから、大丈夫でしょう?』というもんだから、この人娘のことよくわかってるわ、と、それ以上反論できなかった。1週間もしたら、大和はびっくりするくらいに自然に我が家に溶け込んでいた。豊里が懐いていたのも大きかったかもしれない。大和自身にも変化は現れていた。以前みたいな堅い表情は減り、幾分か柔らかく、豊かになっていた。なんというか…機械的だったのが、人間らしくなった感じ?気のせいか、口数も増えた気がする。私の中でも、大和の存在はいつの間にか日常の一部になっていた
――――そして秋津家にて。「と、いうことで。こちらが大和です!呼び捨てでいいよ。」「どうも。先日はご迷惑おかけしたようで…。おかげで助かった。感謝する。」「ちょっと…もうちょっとなんか、こう…ないの?堅苦しくない?」「…なんだよ。」「いえいえ、こちらこそ…瑞穂がお世話になってるようで…。」「あの、よ、宜しくお願いしますっ!私、清香っていいます。こっちはあーちゃ…、あ、陽葉ちゃん、っていいます!」「存じ上げてる。お話は兼がね…。」「ねぇ、なんであんたたちそんな堅いの?」
――――「大和って瑞穂のボディガードかなんかなの?」「あ、あのっ、大和さんって…みーちゃんを守るために、未来から派遣されたサイボーグなんですか!?」「あれっなんかそれ聞いたことあるな。」「そんな感じだ。」「「へぇーーーっ!!!」」「あれっ!?おかしいな!陽葉ってもうちょっと、私と同じで疑り深い女だった筈なんだけど!すっかり打ち解けてるよね!!清香も!あんた人見知りでしょうが!!っていうか、何を平然と人間じゃないこと受け入れてんの!?大和も!平然と嘘をつかないっ!!…いや、嘘なのかどうかもよくわかんないけど!!」「「だって、瑞穂(みーちゃん)が認めた人だし。」」「皆の中の私の認識って何…?」「それに、話してみたら最初の印象と違って、結構話わかるしさ!」「面白いしね。」「…」「…久しぶり、陽葉ちゃん、清香ちゃん。」私の部屋に入ってくるなり、気まずそうに挨拶をする豊里。「…その、心配かけたようで…ごめんなさい。」その豊里の様子に、二人は優しく微笑む。「久しぶり、豊里。謝らなくていいよ。ほっとした!」「これからまた、一緒に遊ぼうね。…えへへ、顔が見れて嬉しいよ。」二人の反応に嬉しそうに頬を赤らめる豊里。「…ありがとう。」 照れたように笑う豊里が可愛かったのか、陽葉が抱き付く。その様子に瑞穂が微笑み、そのまた瑞穂の様子を大和が見つめる。
―――二人を家に帰して、大和と部屋に戻った。「なんで皆、私が紹介したからってああもあっさり受け入れるのよ…。」もんもんとする私に対して、大和が回答した。「信頼されてる、ってことだろ。お前自身が。」「!」こいつがそんなことを言うなんて。そう思いつつも、悪い気はしなかった。




<おまけ>
・「大和、ちょっとコーディネートさせてよ」「駄目だ」「…ねぇ、なんでその服頑なに脱がないわけ?そろそろ教えてくれてもいいんじゃないの」「…実はだな、この服にはあらゆるギミックが隠されていて、戦闘時にここから召喚魔を呼び出したりだな…」「うそおっ!!?」「そんなわけないだろ」「…」
・「大和、クレープ食べよう!クレープ!」「勝手に食え」「食べられないことないんでしょ?」「…仕方ないな…。」
・母「大和ちゃんったら可愛いのにそんな服ばっかり着てちゃ勿体ないと思うの。だから…ね!これ!沢山あるから好きなの着てみてっ!!」大「いや、でも私は…。」母「ちょっとだけだから…ね?」瑞「そーよ。いいじゃない少しくらい。」豊「ほら、着た着た!」大「…」母「あら可愛い~♡」瑞「へぇー!結構似合うじゃない。」豊「こ、今度コスプレ着てみてほしいんだけど…。」瑞「えっ、あれっ?このセーラー服誰の?」母「あっ。」豊「!?」大「なんか…それこそコスプレっぽいのもあるが…(ナース服とか)…豊里のか?」母「…」豊「(敢えて聞きたくない)」