【4話】味方か敵か


とある小学校で、男性教師が生徒達に授業をしていた。「テレビやネットを見てよく知っているだろうけど、およそ1年半前に『宇宙統括本部』の『特殊防衛部隊』の人達が地球にやってきた。彼らは遠い宇宙の、僕たちとは違う惑星で生まれた人類で、宇宙からやってくる有害生物から僕たち地球人を守ってくれているんだ。有害生物っていうのは、地球の資源や人類、果ては地球そのものを狙って襲ってくる存在のことを指している。彼らは、地球上で生きる生物達と同じように、生きるため、種の繁栄のために、自分たちの環境に合った星を探し求めて、宇宙を彷徨っているんだ。水も空気も無い、真空の宇宙を移動出来るなんてすごいよね。…まぁ、宇宙に出られる生物自体、それほど数は多くないみたいだけどね。」そしてまた別の中学校でも、女教師が同じように授業をしていた。「彼女達の話だと、この宇宙には僅かだけど、私達地球人以外の人類も生きているそうよ。彼らはそれぞれ別の星で暮らしていたり、宇宙船に乗って宇宙を移動しながら生活しているんですって。というのも、宇宙にある星のほとんどが、生き物が住むには厳しすぎる環境だからなの。例えば、人間にとって毒になるようなガスが星全体に充満していたり、近くの恒星が放つ熱の影響でとても高温だったり、私達には想像もつかないような猛烈な暴風が吹き荒れていたり…なんてね。」そして大学の老講師が説明をする。「『特殊防衛部隊』の彼らを見てもわかるように、地球外の人類は外見こそ私達と酷似しているが、遺伝子構造や生育環境の違いにより、肉体の仕組みや体を構成する成分には、明確な差異がある。とはいえ、同じ"人類"という括りで語れるほどにその共通点は多いから―――もしかしたら我々の祖先やその起源は、古くは同じだったのかもしれないな。」遥か太古の昔――――何億年も前に高度な文明が存在していて、その時から既に宇宙航行はされていた、という説も唱えられていた。そして、場面は小学校へと戻る。「体のつくりが違うという理由もあって、『宇宙統括本部』の『特殊防衛部隊』の人達は、地球人に比べてとても強いんだ。身体能力も、体の丈夫さも、僕達とは比べものにならない。だから、宇宙生物たちとも生身で戦うことが出来るんだ。そしてとても頭が良い。彼らには、僕たちよりも数十年――いや、もしかするとそれ以上に進んだ文明があるんだ。だからこそ、宇宙を船で航行することもできるんだよ。彼らが持ち込んでくれた技術や知識のおかげで、僕たちの暮らしもどんどん便利になっている。医療やインフラ、情報技術なんかも大きく発展しはじめていて、地球の技術レベルは今、確実に上がりつつあるんだ。」そしてそんな教師の話を、目を輝かせながら聞く小学生男子が一人。「宇宙って、すごいんだ…!」
―――そして数時間後。小学生男子は道端で立ち止まり、高所を見上げながら再び目を輝かせていた。周囲でも、彼と同じように大勢の人々が空を仰いでいる。その視線の先には、複数のビルをまたぐようにして覆いかぶさる、スライムのような巨大生物がいた。体から出した無数の触手で、周囲の建物を次々と破壊していく。そんな中、その生物の周辺を、二人の人影が飛び回っていた。やがて二人は状況を確認し終えると、少し離れたビルの屋上へと着地した。その二人とは、ユェルとメルドだった。「随分とでかいな。」「それにこの子の触手…数が多すぎて、斬っても斬ってもキリがないわね。一本一本が複雑な動きをするから、邪魔で近寄れないし。」「ユェル。」「わかってるわ。」ユェルが何事かを呟く。「“   ”」そして直後、敵に向かって再びユェルが走り出した。それにメルドも続く。ユェルの目の色が変わり、視界が開ける。ぎょろぎょろと周囲を見渡しながら、敵の体の上に飛び乗ると、触手が一斉に襲いかかってきた。高速で動く多数の触手に対し、ユェルはそれが全て見えているかのように、次々と避けては斬り落としていく。メルドもそれに続きながら援護をする。「あそこだわ。」やがて走りながら、ユェルは敵の体の一点を指した。その皮膚からは、一段と太さのある触手が生えていた。「この子の動力エネルギーが全部、あの部分に集中してる。皮膚下7Mくらい下ね。」「そうか。あの触手…邪魔だな。」そう呟いたメルドも、走りながらユェルと同様にある言葉を呟く。「“   ”」二人で素早く目標地点に到達すると、ユェルは周囲を警戒し、メルドは両手で触手を掴んだ。そして、一気に触手を引き抜く。ぶちぶちと何かが千切れる音が聞こえたかと思うと、ずるりと内臓のようなものが引き出され、生物が耳を劈くような悲鳴を上げた。メルドは引きちぎった触手を投げ捨てると、すかさず武器を手にして、その傷口へと深く突き刺す。先日のノーディスの時と同じように、武器のスイッチが入ると、剣先がぐんと伸び、体内の肉をかき分けながら奥へと突き進んだ。再び、生物は悲痛な叫びをあげた。だが、びちびちばたばたと暴れるだけで、なかなかその命を絶えようとはしない。「駄目だ。お前のも貸せ。」「わかったわ。」周囲の触手を斬り落としたユェルが、メルドに武器を渡す。そしてメルドは、すぐさま2本目を突き刺した。更に生物は苦しそうな声を上げた。「いい加減くたばれ。」そう言うとメルドは、両手の剣を握りこみ、それぞれ逆の方向へと大きく掻っ捌いた。生物は体をびくりとしならせると、ひと際大きな悲鳴声を上げてから、急激にその動きを失っていく。やがて力尽きたように、しおしおと崩れ落ちていった。「ようやくか…。」「お疲れ様。結構かかっちゃったわね。」生物はぴくりとも動かなくなり、変色した体をだらんと弛緩させた。その様子を目の当たりにすると、周りで見ていた人々も「終わった」ことを察した。思わず「おぉ~…」と声を上げる人もいる。そして例の小学生男子も、更に目を輝かせるのであった。「お姉さん達、かっこいい…!!」

宇宙船基地の憩いスペースで、ノーディスはソファに座り、タブレットをいじりながら動画を探していた。おすすめに出てくる動画のサムネイルには、どれも似たような文字が並んでいる。『宇宙人達の本当の目的とは!?』『地球を乗っ取るために派遣された!?』『あなた達は彼らを信用しますか?』―――といった文章が並んでいる。地球外生命体という脅威から地球を防衛してくれるセイド達に、感謝や信頼を寄せる人々がいる一方で、その存在や行動理由に対して疑問を呈する人々が一定数いるのも事実だった。それを明示するかのように、ネット上では「Metuber」始め一部のインフルエンサーたちが、動画などで口々に発言をする。『地球人類の基盤に侵入して、何かしでかそうとしてるんじゃないのか?』『宇宙生物も、「奴らが寄越してるんじゃ」、なんて噂もあるからね。』そしてどんどん話は飛躍していく。『奴らはそもそも本当に宇宙人なんでしょうかね?どこかの国の人間が開発した"新人類"なんじゃないか?』『もしかして宇宙生物が擬態して、私達を騙しているのかも。』『彼らを信用しちゃいけない。我々は自分達で自分の身を守らないと!』目当ての動画が見つからなかっただろう、ノーディスはタブレットを置くと、今度はリモコンを手にしてテレビを点ける。ニュースでは宇宙特集が組まれており、専門家が主張をしているところだった。『確かに彼らの協力によって、我々は多くの課題を解決しつつあります。科学技術は飛躍的に進歩し、医療やエネルギー、インフラの面でも恩恵を受けているのは事実です。しかし一方で、こうした急速な進展を全面的に委ねてよいのかという懸念も存在します。彼らの真意がどこにあるのか、資源の確保や社会基盤への浸透、あるいは人類としての主導権をいかにすべきか…。彼らを全面的に拒む必要はありませんが、無条件に信じるのもまた危うい。利点を享受しつつも、常に検証と監視を続ける姿勢が不可欠だと言えるでしょう。』ノーディスは欠伸をしながら、興味がなさそうにチャンネルを回していく。ファッションの話題や、美容の話題、スポーツの話題―――…等、様々切り替えるが、そのどれもが興味を持てない様子だった。「地球人ってよくわからないものに興味持つわねー…。やっぱり文化が違うわ。食べ物とかはまだわかるけど。」すると、最後に回したチャンネルでは動物特集が組まれていた。「…」画面には、可愛い犬や猫の動画が映し出されていた。「…まぁ、これは、わかるけどね…。」そしてその愛らしさを食い入るように見つめていると、廊下の奥からホウリィがやってきて、ノーディスに問いかけた。「あれ?今日セイドは?」「んー?確か、地球の偉い人達の集まりに呼ばれてたんじゃなかった?」その言葉に眉を下げるホウリィ。「そう…大変ね…。」「今日はムエラが一緒の筈よ。」「それならまだ良かったけど。――――あら、それは?」「ふふ、見てみなさいよ。可愛いでしょ。」「ほんと。地球の生物は可愛い子が多くて癒されるわね。」そうしてホウリィはノーディス一緒になって、テレビ画面にくぎ付けになるのだった。

セイドは一人、待機室で手元の小型端末を眺めていた。「……」廊下につながる扉が開くと、そこからムエラが現れる。「セイド、そろそろだ。」ムエラが声をかけると、セイドは端末をポケットにしまい、ムエラの方へと歩き出した。
セイドはムエラと一緒に、国連本部を訪れていた。大きく開けた講堂のような部屋に入ると、セイドは壇上に上がり、ムエラは少し離れた後方に立った。各国の重鎮からの質問を一度に受けるセイドは、いつになく真剣な表情で答えていく。「『宇宙統括本部』―――…と聞くが、君達防衛部隊以外の人間を我々はまだ見ていない。本当にそんな大層な組織があるのか?」「勿論です。本部の所有する巨大宇宙船が、現在もこの地球に向かって宇宙航行中です。もう少々お待ちいただければ――――」「だが、君達が来てもう1年半も過ぎてるんだ。そんなに時間がかかるものなのか?」「…あなた方もご存知のように、宇宙は広く、遠いのです。我々の技術や亜空間航行を以てしても、移動には数年の単位を要します。…仰る通り、『宇宙統括本部』なんて仰々しい名前をつけていますが―――…実際のところ、あなた方が呼称する"銀河系"の範囲でしか、未だ移動は出来ていません。宇宙内の移動も、高速航行と亜空間頼りが現状です。『ワームホール』と言った転移技術の研究も進めてはいますが、検証段階において移動先地点の指定が困難であることから、何度も試行しては失敗している、という状況です。…地球上など、特定条件下の短距離走行であれば、我々が行うような小型船による『ワープ』移動は可能ですがね。」その言葉に質問者は押し黙った。セイドは演台に両手をつくと、身を乗り出して続けた。「そして何より、本部は忙しい。他にも調査や防衛の対象となる星が複数ありましてね。現段階でこの一帯のエリア調査については、我々に一任されている状況です。特定の恒星系にのみかまけていられるほど暇では無い、ということですよ。」その言葉に、地球人達が少しの威圧感を受けた様子を見て、セイドは体を起こした。「まぁ尤も、本部もじき、こちらへ到着予定のようですが。」「それはいつ頃なんだね。」「先日通信班に連絡がありました。おそらく2、3か月以内には到着できるかと思います。」その言葉に会場が静まり返る。そんな中、一人が率先して重い口を開いた。「…私達が何故こんな質問をしているか、君ならばわかるだろう。」「…」その言葉にセイドは笑みを消し、目を細めた。「世間の君たちに対する風当たりは強い。勿論、外敵の襲撃を防ぎ、さらには情報や技術まで提供してくれる君たちに、感謝を抱いている人間は少なくない。我々もその恩恵を十二分に実感している。しかし、それでも拭いきれない不信感があるのだよ。君たちの正体や、目的がつかめないのだ。……それは、我々の知識や技術の水準が低いせいもあるのかもしれない。だが、君たちの様々な"力"を目の当たりにすると、すべてを我々に開示しているわけではない、と感じざるを得ない。例えば、軍事力などは――――」「あなた方の知識や技術水準に応じて、我々も情報を提供しているにすぎません。」きっぱりと告げるセイド。「あなた方の研究が進み、高度な文明に到達できれば、より多くの知識を分かち合えるでしょう。」安心させるようにそう言った直後、目を細め、再びあの不穏な笑みを浮かべる。「ですが我々も一つの組織です。そして地球の各国と同じように、我々の組織にも"価値観"と"方針"がある。そして当然、"機密"も存在する。――――我々もまだ、あなた方地球人を完全に信用したわけではない。」「…!」「お互い様、というところでご理解いただきたいところですね。」そして話は終わった、とばかりに壇上から退場しようとした時だった。「あぁ、それから―――」言い忘れた、とばかりに再び演台に片手をつくセイド。「あなた方の国の関係性は勉強させていただきました。しかし、今は団結すべき時かと思いますよ。」突然の言葉に会場は騒めいた。「内戦によって敵に隙を突かれ、滅ぼされた星を私は知っています。我々は宇宙を巡り、様々な星と人類達に出会いました。星やエリアによって発展の度合いは異なります。後進的な星もあれば、先進的な星もありました。しかし共通していたのは――"内輪揉めが原因で滅びる"ということです。」体を起こし、最後に一言、忠告をするセイド。「あなた方が愚かな選択をしないことを、私は望みます。」
――――「大丈夫か?」廊下を歩きながら、ムエラが気づかわし気にセイドに声をかける。「あぁ。」その顔に、いつもの笑みはなかった。

本拠地に戻ったセイドは、一人基地の廊下を歩いていた。一刻も早く憩いスペースに戻りたい―――そんな思いで足早で進んでいたが、前方から現れた相手の顔を見て、その速度を緩めた。出来ればお目にかかりたくなかったその顔には、面白いものでも見るような表情が浮かんでいた。「久しぶりじゃねぇか、セイド。」「……ワナゼナ…。」水色の髪を持った、目つきの悪い高身長の女は、名をワナゼナと言った。――――「地球人共は貧弱だな。その上、知能も技術も劣ってやがる。」会議室に通されたワナゼナは、客人とも言えぬ横柄な態度で、椅子の上に足を組んで座っていた。セイドはいつもの笑みを浮かべ、その前で佇む。「随分とお久しぶりですね。」「暫く別の部隊の監査をしてたからな。でも、お前らが面白い星を見つけたって聞いて、わざわざ来てやったんだよ。」「…あなたに来ていただかなくても、我々はきちんと仕事は全うしますよ。」「既に色々確認させてもらったが、まぁ流石、お前の言うことは尤もだな。だがな。」そう言ってワナゼナは立ち上がると、セイドに詰め寄った。セイドはそれに動揺することなく、真正面から受け止めた。「勘違いすんなよ。私の仕事はお前らの"監視"と"監査"だ。それを判断するのは、こっちだ。」「…それは失礼しました。」セイドの返事を聞くと、ワナゼナは距離を開ける。「あんまり私の手ェ煩わせんじゃねぇぞ。見逃しはしねぇからな、例えばお前らがサボってねぇかとか―――…変なこと企んでないか…とかな。」ワナゼナからの脅しにも、毅然とした態度を崩さないセイド。そんなセイドに、ワナゼナはふっと目を細めると、仕事は終わりだと言わんばかりに、セイドの横を通り過ぎていく。「また来るぜ。」「お疲れ様です。」そうしてワナゼナが去っていく背中を見届けると、再び笑みを消すセイドだった。
――――上着を脱ぎネクタイを外すと、少し疲れた様子で憩いスペースのソファに腰掛けるセイド。そんなセイドに、ノーディスが紅茶の入ったカップを手渡した。「"ハーブティー"ですって。すっきりするみたいよ。」「…ありがとう。」セイドはそのカップを受け取って、口に付けた。「少しは休みなさいよね。」「休んではいる。」「嘘つきなさいよ。」反論する気力もないのか、黙り込むセイドに対しノーディスが突っ込む。「ムエラに聞いたけど、こてんぱんにやられたみたいね。」その言葉に先ほどの出来事が蘇り、セイドは渇いた笑いを溢す。「はっ…。…疑り深くもなるだろうけどな。」「まぁねー。」そこでふと気づき、ノーディスに問いかけた。「皆は?」「ムエラはさっき通信班に呼ばれてたわね。ホウリィは技術班のとこに武器の改良の手伝いに行った筈よ。ヤオロアは探査班に呼ばれて確認に行って、ユェルとメルドはこの前退治した宇宙生物の研究結果を聞きに、博士のところに行ってた気がする。」「ニセコは?」「調理班に呼ばれて、新メニューの味見するとか言ってたわね。」「…そうか。」そこでようやくセイドの顔に笑みが浮かんだ。だがそこで、はたと気づく。「お前は…?」その問いにノーディスはしばしきょとんとした後、問いかけの意図を理解したのか、勢いよく立ち上がり抗議を始めた。「ちょっと!!私が暇そうだって言いたいわけ!?ついさっきまで調査班の手伝いしてたわよ!!私だってちゃんと仕事してるし!!」そのあまりに必死な様子に、思わず笑うセイド。「悪い悪い。冗談だ。」そんなセイドを見て、ノーディスも安心したように微笑むと、再びソファに腰を下ろした。そして、優しい声色で呟く。「全く…。私達だって出来ることはやるんだからね。」その言葉に、セイドも柔和な笑みを浮かべるのだった。「…ありがとう。」その後少し談笑していると、ノーディスがそういえばと声のトーンを落として呟いた。「あいつ、来てたわね。」「…あぁ。」先ほどの監理官――――ワナゼナのことだった。そしてセイドに目を合わせながら、小声で問いかける。「大丈夫なの?」「問題ない。」セイドは強い意志の篭った、鋭い目で告げた。「計画は遂行する。」

夜も更けた頃。ヤオロアが気だるそうな顔で、右手にコーヒーの入ったコップ、左手に本を持って、憩いスペースにやって来た。そこではセイドが一人、険しい顔で、研究資料であろう書類と睨めっこをしていた。辺りにはたくさんの書類が広げられている。ヤオロアは気にせず近寄ると、少し離れた位置に腰を下ろした。そこでようやく、セイドがヤオロアの存在に気づく。「…あぁ、すまない。さっきまでケォンがいて―――」「別に構わねえよ。」そうして気にしない素振りでコーヒーを飲むと、本を読み始めるヤオロア。そんなヤオロアに肩の力を抜くと、セイドは再び書類に目を落とした。「あんま根詰めすぎんなよ。」「!」「いつも言うが、睡眠は取れ。」顔を上げると、ヤオロアはいつもの無表情で、じっとセイドの顔を見つめていた。そんなヤオロアを見て、ふっと顔を綻ばせるセイド。「…ありがとう。」「そうじゃねぇだろ。」「わかった。ちゃんと寝る。」「言ったな。」「言った。」そしてセイドはヤオロアに言われた通り、少しばかり書類に目を通した後、眠るため自室に戻ったのだった。


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