「あ〜〜もうさっさと吐けよ〜!」「ふんっ!ぜっ、絶対に吐くもんかっ!!」廃墟となった倉庫の一室に、ドナとルイザ、そして眼鏡のひょろひょろとした瘦せ型の男がいた。ドナは椅子に逆向きに座って背もたれに両腕をかけており、ルイザはテーブルのような台に寄りかかって腕を組んでいる。そして眼鏡の男はというと、椅子に縄で縛りつけられていた。「お前言わねえと帰れねえよ?」「いいさ!僕の命なんて安いもんだ!煮るなり焼くなり好きにしろっ!!」ドナとルイザは顔を見合わせてため息をつく。「どうする?」「どうするったって…やるしかねえだろ。」本日の依頼は、『この男が盗んだものを取り返してほしい』というものだった。依頼者の話だと、どうやらこの男が依頼者の勤務先へ不法侵入し、会社の機密情報を盗んだらしい。その機密情報が漏洩することを恐れてか、依頼者の勤め先については、ドナ達にも秘匿されていた。ルイザの言葉を聞いて、嫌そうに、は〜〜〜…と大きなため息をつくドナ。「…ったく…、あんまり一般人に手ぇ出したくねえんだけどな…。」そう言ってゴソゴソと工具箱から取り出したのは、ペンチだった。「なっ…!それで、何を…。」「爪を剥ぐ。」「!!」「それか、指折られるのと殴られるのとどっちがいい?」「……!!!」「まー、爪のがマシだろ。また生えてくるし。」そう言って立ち上がると、拘束される男の傍らに立ち、男の手を抑える。「まっ…待て待て待て待て!!」「あ?」「…」「じゃあいくぞー。」「うわあああ待ってくれ!!」「なら話すか?」「…」「…」沈黙が下りる。ドナは再びペンチを男の指に近づける。「わっ!わあっ!!」「うるせぇ奴だな!!男ならさっさと腹決めろ!!」「うううぅぅ…」男は項垂れ、諦めた様子で、自分の所持していたカバンを開くように指示をした。「そこに手帳があるだろう。」ルイザが見ると、男の言うように、カバンの中には黒革の手帳があった。「その最後のページを捲ってくれ。」手帳を開くと、何かの文字の羅列が。「――…」それに目を通しながら考え事を始めるルイザ。しびれを切らしたドナがルイザの元へ行き、その手元を覗き込む。「…あーなになに…。―――…あぁ?おいてめェこら!なんなんだよこれ!」「…もしかして、隠し場所の暗号か?」ルイザが冷静に問いかける。それには答えず、男はぷいと顔を反らした。「ふ…ふんっ!それ以上の情報は絶対に教えないぞ!!」「隠し場所の暗号だ~~~!?んなまどろっこしいことしてられっかよ!!」ドナは怒りに任せて、男に銃を突きつける。その様子に慌てる男。「わあッ!!わッ!!違ッ…!!か、隠し場所が!ややこしいというか!わかりづらい場所にあるから、それじゃないとわからないんだッ!!」「…ッの野郎〜〜〜!!」ギリギリと苛立つドナ。「おい、やめろ!落ち着けって。」銃身を掴んで下ろしてやるルイザ。「仕方ねえだろ。…これで探しに行くぞ。」「マジで言ってんのか!?」言い合う二人に対して、男から声をかける。「――…一つだけ、聞きたい。」「あぁ?」「君たちは、悪い人か?」その質問にぽかんとする二人。「…さぁな。お前次第じゃねーの。」ドナのその回答に、男は俯き小さな声で呟く。「出来ることなら、悪人の手に渡ることは避けたい。」「…あぁ?」「…」ルイザは男の様子を見て何やら思案する。「私達もそれは同じだ。」「!」ルイザの答えに男が口を開く。「君達には、一つだけ教えてやる。」
――――「―――なぁ、どう思う。」車を運転しながらルイザが問う。助手席に座るドナは開けた窓枠に肘をつきながら「あぁ?」と問い返した。「何がだよ。」「あの男だ。」「あぁ…。どう見ても、私利私欲のために会社の機密情報を売っぱらうような輩には見えねえな。」「…」ドナがそう答えると、ルイザは黙りこくった。それを見てドナは、愚痴を溢すように吐き捨てた。「そもそも、私は拷問専門外だっつーんだよ。」「…うちの組織自体、得意な奴はいねぇな。」「…あいつには筒抜けだったぜ、『拷問なんかする気ねぇってな。』」「…あぁ。だからこそ最後のヒントだったのかもな。」男は、隠し場所の大まかな場所だけ教えてくれた。「ルノカ山…か。」山間部奥にある、観光地でもない、滅多に人が入らないような山だ。二人の乗る車は、山奥の道路を進んでいった。
――――麓に到着し、道路の脇に車を止めて歩き出す。その手には、大きなカバンやスコップが。ゴツゴツとした地形で、大岩がそこかしこに転がっている。その奥を迷いなく進んでいく二人。―――そんな二人の背後で、ドナ達が降りた車から少し離れた場所に、別の車が停まった。そこから3人の男が出てくる。男達はドナ達を追いかけて歩き出した。―――が、「!?」暫く歩いた後、少し目を離した隙に二人の姿を見失ってしまう。慌てて駆け出す男達。だが、いくら走っても女の影は見当たらない。立ち止まり、周囲を見渡そうとした時だった。後ろに人の気配を感じ、振り返ろうとした。―――しかし。「…!」後頭部にゴリ、と無機物が当たる感触がしたため、それはかなわなかった。男の体が硬直する。「何か用か?」背後から女の声がした。気づくと、他の二人も同じように、銀髪の女から二丁の銃をそれぞれ突き付けられていた。それを見て男は、自分の背後にいるのは桃色髪の女であることに気づいた。「バレてねぇとでも思ったか?」「…!」「お前ら何者だ?」ドナからの問いに、男達は答えない。「…」男の膝裏を蹴って膝立ちにさせると、ドナは容赦なくふくらはぎを撃った。「ぐああああッ…!!」男は思わず、足を抱えて痛みに耐える。男が落とした銃を拾い上げ、ドナも両手に銃を構える。「何者だって聞いてんだ。…誰の差し金だ?」答えようとしない男達を見かねて、「次は左だ。」と呟きながら、倒れる男のもう片方の足に照準を合わせる。すると、仲間の一人が観念したように喋り出した。「…お、俺達は、セルネス製薬から雇われた。」「!」「おい…ッ!」「セルネス製薬…?」なんだって製薬会社が…?と、疑問に感じる。「おっ、俺達は何も知らない!…お前らが何かを見つけたら、それを奪うように命令されていただけだ。」男達のその言葉と様子から、どうやら雇われの、素人に近い業者であろうことは察せた。「(随分舐められたもんだな…。)」これ以上のことを聞いても埒が明かないと判断したドナは、ルイザに目配せする。そして、「命が惜しけりゃ、このまま大人しく帰れ。」と言うと、「おら」と、負傷した男に銃身をぺちぺちと当てながら、残り二人に"銃を落とせ"と指示を出した。男達はそれに従い、懐に仕舞っていた銃をその場に落とす。それをドナとルイザが二人、それぞれ足で蹴ると、男達の手の届かない遠くへと払いのけた。そして男達に銃口を突きつけたまま、二人は立ち位置を変える。帰り道を開けてやったのだ。「そいつ連れてさっさと帰んな。」その言葉を皮切りに、男達は負傷した男を慌てて抱えると、その場から逃げるように立ち去ろうとする。それを追いかけるように、ドナとルイザもゆっくりと後ろから付いていく。男達が車に乗り込み、走り去るところまで見届けると、ようやく銃を下ろした。「さて…と、」その後銃を拾い上げると、再び車に乗り込む二人。二人が降車したのは、眼鏡の男が言った山とは別の山だった。ルノカ山はもう少し先にある。「…なーんか今回の依頼者きな臭ぇな…。」「…あぁ。」そして再び、車を発進させた。
――――「え〜〜〜…と?『印のついた木と木の間の』…」手帳に書かれた暗号をぶつぶつ読み上げながら周囲をうろうろとするドナ。「あぁ…?『陽が沈む方向の』…?『山の頂にあるモミの木』が…――…」やがてわなわなと震えだす。「だぁーーーーッ!!んなもんわかるかぁッ!!」叫ぶドナを冷めた目で見るルイザ。「だと思った。」すると、ルイザの無線が鳴る。『暗号、わかったぞ。』その声を聴いて勢いよく振り返るドナ。「ジョン!!」そう言ってルイザの元へと駆け寄る。「こういうのはジョンに聞いた方が早いからな。」「なんだよ!!相談してたならさっさと言えよ!!」「お前が解けるか試してみたかった。――まぁ、予想通り無理だったけどな。」そう言って口元に手を添えて馬鹿にしたように笑うルイザ。「~~~てめぇッ!!!」『あー…答え言っていいか。』「待て!!私が自力で解いてやる!!」「おいおい、悠長に解読してる暇なんてないぞ。」先ほどの追手が応援を読んでいたら厄介だ。一人でまた解読し始めたドナを無視して、ルイザはジョンの指示通りに歩きだす。「印のついた木と木の間に立ち…モミの木の方向に向けて8歩…更に…」そして方向を変えて、更に何歩か進み、立ち止まる。「―――ここだ。」そこに持参したスコップを突き立てて、地面を掘り進める。その背後では、ドナがまだきょろきょろとしながら暗号と格闘している。「!」やがてスコップがガツン、という衝撃音と共に何かにぶつかった。その周りを掘り起こすと、何やら缶の箱が。土を払い落として、その蓋を開ける。「―――…!」その中には―――「『D-5320』…?」何らかの液体が入った瓶がしまわれていた。厳重に封がされており、ラベルには、ルイザが口に出した『D-5320』の文字が手書きで書かれている。すぐさまルイザは無線に手を伸ばす。「ジョン、調べてほしいことがある。」『中身はなんだった?』「何らかの薬品が入った瓶だ。『D-5320』と書かれている。」『薬品…?』「ちなみに、さっき私達から横取りしようとした輩は、"セルネス製薬の回し者"だとか言っていた。」『!――…なんかヤバそうな臭いがするな…。』「あぁ。」『わかった。調べてみる。』「頼む。」無線を切ると、ルイザはドナに呼びかけた。「ドナ!車に戻るぞ!」「あぁ?まだ解読してねえぞ!」「いいから!…急いだほうがいいかもしれない。」「…?」
――――荷物をまとめ、車まで足早に移動していると、再びジョンから無線が入った。『わかったぞ。どうやら、セルネス製薬の奴等が秘密裏に開発していた薬品らしいな。』「『機密情報』…な。」「…眼鏡の男、『悪人の手に渡るのは避けたい』とか言っていたが…。」『…あ〜…思ってたよりやばいやつかもしれねえな、それ。』「あ?」何やらカタカタと音を鳴らしながら話すジョンは、大方、無線の向こうで製薬会社のサーバーへハッキングの最中なのだろう。『…≪液状の場合、1滴でも体に触れると、忽ち死に至る≫…≪更にそれが僅かでも揮発し、成分が皮膚や呼吸器等へ付着すると、呼吸困難、頭痛、下痢、嘔吐、痙攣等の複数症状を併発し、同様に死に至る≫…≪1滴の揮発範囲は広範囲に渡り、半径5Mほどに効果を発揮する≫――…だとよ。』「おいおいおい…!!!んなやべぇもん―――…!!」慌てて落としそうになるドナ。「おいッ!気をつけろ馬鹿ッ!!」青い顔で焦る様子のルイザが怒鳴る。「わ、わかってるよ!!」「…こんなヤバいもん、テロなんかに使われたらひとたまりもねぇな。」「つーかこんなんをあのままほっとくわけ―――…」そこでハッと気づくドナ。「だからさっさと帰ろうって言ったのか!」「気づくのがおせぇ!!」『…ダレルに話して、応援を呼んでおく。』「あぁ、くれぐれも頼む。」「うわ~~~~このまま持っていきたくねぇ~~…。」
――――車まで到着すると、急いで荷物を積み込み、車の周囲を隈なくチェックする。「GPSとかは付けられて無さそうだな。」確認が終わると、車に乗り込みすぐさま発進する。「このまま警察に駆けこむか?『おまわりさん助けてください!!』ってな。」「そうしたいのは山々だが――…」「つーかあの眼鏡も、なんでサツに駆けこまなかったんだ?多分、元研究員かなんかだったんだろ、アレ。」「…やっぱり、ダレルに引き渡した方がいいかもな。」「あ?」「あの"爺さん"経由で依頼した方が良いかもしれない。…サツにも精通してるらしいしな。」「!…サツもきな臭ェって話か?」「…念のためだ。」「あ~~あ、このまま無事におうちに帰れるといいんだけどなぁ!」そう話していた矢先だった。後方から、ものすごいスピードで迫ってくる車が2台。先ほどの追手とはまた違う車種だ。「おいおいおいおい、」バックミラーからそれを見つけると、ドナは窓から顔を出して後ろを振り向く。―――と、後方の車の助手席から、身を乗り出す男が。その手には、銃を持っている。「!」直後、ドナ達が乗る車に銃弾が撃ち込まれた。慌てて体を引っ込めるドナ。ルイザの運転する車は防弾仕様であったため、銃弾が車体を貫通することはなく、カンカンと跳ね返った。「言わんこっちゃねえ…!!」「防弾にしておいてよかったな…つっても時間の問題だな…。」タイヤにでも撃ち込まれたらアウトだ。「ッのやろ…!!」ドナは後部座席からマシンガンを手にすると、若干体を出しながら、数発銃弾を撃ち込み牽制する。「クソッ…!あっちも防弾仕様かよ!!こんなことならブレット連れて来るんだったな…―――おおっ!?」車は急旋回して三叉路の左側の道へと曲がる。思い切り車体が左右に振られ、ドナが体勢を崩す。「おっ…、お前大丈夫かよ!?」「うるせぇな!!やるしかねぇだろ!!それともお前代わるか!?」「前も言っただろ!私は運転自信ねぇんだよ!!」「だったら運転手撃ち殺すことだけに集中してろッ!!」「無茶言うなッ!!」その後はカーチェイスの始まりだ。アクセルを噴かして、追いつかれないようにとスピードを上げる。だが、2台の車との距離は離れない。「おいおいおい、改造車だぜこっちは…。つーかルイザ、スピード出しすぎじゃね!?」「仕方ねえだろ、あっちも相当早い!!追いつかれるよりましだ!」「あ~~やべ~~~…!頼むからスリップだけはしてくれるなよ…!」「うるせぇな、わかってる!!」ドリフト走行で、曲道を右へと曲がる。その後も何度かドナが身を乗り出して銃弾を撃ち込むが、なかなかどうして当たらない。「クソッ…!当たらねぇ…!」ルイザだったら当てているか、と思ったが、車の運転を任せている手前、ここで自分が何も出来なければ、ただのどうしようもなく情けない奴だ。車で左右に振られ、軌道の読めない敵の銃弾に、ビビっている場合ではない。呼吸を繰り返し、落ち着けながら思い出す。「(ルイザみたいに、冷静に―――…)」狙撃をするルイザの様子を思い出す。息を吸って、止める。そのままの流れで、再び後方へ銃口を向ける。そして―――パパパパ、と撃った銃弾の一つが、1台の車の前輪に命中した。「!」車はバランスを崩し、スピンをする。「ッし!!やりぃ!!」「やるじゃねぇか!!」珍しくルイザが褒める。そうこうしている内に、車は段々と住宅地へと踏み込む。まだ1台、後ろにはついたままだ。住宅街に入ると、右に左に、道を抜けて捲こうとするも、相手もなかなかしぶとい。「しつけぇな…!」こうも住宅地ばかりではまともに銃も撃ちづらい。やがて車はごみ処理場跡地の空き地に踏み込む。「…は?」その先には、多くのごみを下敷きに、ジャンプ台のように反り返る分厚い鉄板が見えた。その奥には、線路が。慌てるドナと、覚悟を決めた顔をするルイザ。「おいおいおいおい!!マジかよ!!」「やるしかねぇだろ!!」ギアを切り替え、アクセルを噴かす。ドナはグリップを握り、足を踏ん張る。ルイザは操作がぶれることがないよう、ハンドルを強く握りしめた。車は坂に差し掛かる。坂道を下り、反り返る鉄板を経由し、そのまま空へ―――…二人にはそれがスローモーションに見えた。まるで空を飛んでいるかのような感覚。―――…が、それも束の間。「!!」車は線路を飛び越え、その先の道路に向かって降下。二人は衝撃に備える。ガシャン、という音を立てながら、左右上下に車は揺れて、地面に着地した。「…しっ…死ぬかと思った…!!」「…」二人とも、息を荒くし、顔を青くして冷や汗をダラダラと流す。心臓の音は、隣にいる奴にも聞こえているんじゃないかというくらいにバクバクと早鐘を撃っていた。若干手も震えている。それでも運転操作が揺らがないというのは、流石ルイザというところか。「…お前、マジでこういう土壇場強ぇーな…。」「どんだけ戦場駆け抜けたと思ってんだ…舐めんな…。」最早、疲労で息も絶え絶えだ。だが、「!?まだ追ってくるぞ!?」あんな道を、あの車も切り抜けてきたのだというのだろうか。後方にはあの追ってきた車が。だがルイザは冷静を取り戻していた。「―――…大丈夫だ。」すると、パァン!という音を立てて、追手の車は突如ぐらぐらと左右に揺れ―――塀に突っ込んだ。「――…ルートは合ってたみたいだな。」「ギルか…!!」ドナとルイザが走り去った後、建物の屋上で銃口を上にあげたギルの姿があった。「ほんっとこういう時に頼りになりすぎるな…。」「爆走してる車のタイヤに当てるなんて…流石の私でも無理だと思うぞ…。」
ぐったりとしたドナとルイザがホームの扉を開けた先で佇んでいた。「無事でよかった、二人とも。」「つーかほんと、良く逃げ切れたよな。」二人の無事を喜ぶダレルと、もはや呆れているエルバート。「マジで死ぬかと思った…。ルイザにあんなドライブテクニックがあるとは思わなかった…。」「…自分でもわからない…。完全にゾーンに入ってた…土壇場の馬鹿力だ…。」ルイザはわなわなと自分の両手を見つめる。「うわ、アドレナリンやばそー…。」「…ジョン、マジで助かった。ありがとな。」「いや、お前らこそほんとお疲れだよ。」グレッグと共に、保護されていた眼鏡の男がバーに入ってくる。ドナから情報を聞いていたであろうダレルが、眼鏡の男に近寄り、呼びかけた。「…これは責任持って、信頼できる人の元へ渡そう。」「…!」眼鏡の男がドナとルイザを見る。「…やっぱり君達は、『悪い人』じゃなかったんだね。」「…はっ、言ってろよ。」ドナの言葉に笑みを浮かべると、眼鏡の男は深々と頭を下げた。「よろしくお願いします…っ!」