ブローニャ達は老人の馬車に揺られながら数日過ごし、やがて山の麓にある馬牧場へと辿り着いた。その眼前には、雄大な山脈がそびえ立っていた。木々の姿はほとんどなく、ところどころに岩が突き出しているものの、見渡す限り果てしない草原が広がっていた。傾斜は全体的になだらかで、一見歩きやすそうにも見えるが、どう見ても馬で登れるような地形ではなかった。「えっ、ほんと?この山登るの?冗談でしょ?」そんな光景を見ながら、思わずチェリが声を上げた。「そうだ。」ブローニャが真剣に答える。「結構距離長くない!?それから高くない!!?素人は山舐めちゃいけないってどっかの偉い人が言ってたわよ!?」「地元の人が、『素人でも頑張れば超えられるレベルの山だ』と言っていた。この時期であれば、気温や天候から考えてもそれほど過酷ではないだろうともな。クラークも、『あの道を通ってきた君たちなら、きっと乗り越えられる』って言ってたぞ。」「ほっ…ほんとにぃ~~~!?」躊躇うチェリの横からデジャが諭す。「仕方ないだろ。基本は迂回ルートを通るみたいだが、それだと追加で1~2日はかかるからな。」「馬に乗ってても?」「あぁ。あいつらへ追いつくには、このルートを通るのは必至ってことだ。」「…」チェリはちらりと顔を横へ動かす。迂回ルートとやらは、確かに目的地の村がある方角とは別の方向へ伸びている。連なる山々の麓をぐるっと回って行かなければならないのだろう。だからこそ、この場所に馬牧場があるのだ。盗人たちとの距離がもう少し近ければ、そちらのルートを選ぶことも出来ただろう。だが今のブローニャたちには、それを選ぶ余地すらなかった。チェリはここ数日の出来事を振り返る。盗人達との距離がここまで離れてしまった原因の一端に自分が関わっていることを思うと、責任を感じずにはいられなかった。山脈ルートを選ぶ理由を聞いて、断れはしなかった。「あ~~~もうわかったわよ!!『頑張る』って言っちゃったからにはやってやるわよ!!!」いつもより愚痴少なめに了承したチェリを見て、ブローニャとデジャは顔を見合わせ小さく笑った。そんな3人の元へ、ヘザーが歩いてくる。「聞いてきたよ。夜冷えるだろうけど、今持ってる防寒具でも十分だろうってさ。食料もちょっと貰ってきた。」「そうか。ありがとな。」「あと、もう金がすっからかんだぜ。」ヘザーは空になった巾着袋をブローニャに渡した。「……金銭的にも、もうここまでだな…。」それを受け取りながら苦い顔をするブローニャ。「最悪悪党どもから巻き上げりゃいいだろ。」「それもそうだな。」デジャとブローニャがしれっと話すと、チェリがぼそりと突っ込む。「とんでもないこと言ってる…。」「何言ってんだ。迷惑料くらい貰ってもいいだろ。」「…なんか、正義の味方なんだか悪者なんだかわかんないわね。」「…世の中は厳しいものなんだ、チェリ。覚えておけ。」そう言ってブローニャは歩き出した。「――よし。決まったらさっさと行くぞ。」3人も、ブローニャについていくように歩き出した。
――――どこまでも続くような登り坂を、はぁはぁひぃひぃ言いながら登っていく。ところどころ休憩を挟みながら、少しずつ、少しずつ距離を伸ばしていく一行。何時間か歩き続けた後、チェリがふと後ろを振り返った。「えぇっ!?ほんとに高いじゃない…!」それにつられて3人も立ち止まり、同じように後ろを見やった。「…!」「――――…」「うわ…ほんとだすげぇ…!」遠くには山々や森、そして果てしない草原が広がり、遥か先まで見渡すことができた。それはダイア王国だけではなく、ワヘイ王国の方まで見えるのではと思うほどだ。その広大な景色を目の当たりにした4人は、数か月かけて果てしない距離を辿ってきた事実を実感し、感慨深げに眺め続けた。「…本当に、遠くまで来たもんだな…。」「…うん。」「ワヘイの城下町って確かあっちらへんだよな?」「その筈だが、…全然見えないな。」「"ただのガラクタ"を追って、国を2つも跨ぐなんてな。」デジャの言葉に3人も笑うと、再び歩き出した。「私、城下町出た時より成長したと思わない!?」「したした。」「それはもう頼りにさせてもらってるぞ。」「最初はビビッて脅えてたもんな~。あの頃のチェリがもう懐かしいぜ。」「ちょっと!!」「それが今や、率先して動いて、堂々と戦えるようになったんだからな。…本当によく頑張ったと思うぞ。」「えへへ~!」「ヘザーも強くなったもんだ。」「へへ…そうかなぁ。」「あぁ。最初と比べて動きが段違いだ。」「判断能力も上がってる。安心しろ。私たちのお墨付きだ。」「やった!」「変わったというと、デジャも変わったわよね!」「あぁ確かに!最初は取っつきにくかったしな~。今はすげぇ話しやすいけど。」「正直な奴だな。」「…我ながらそう思う。」「おっ、素直じゃん。」「まぁ、事実だからな。」「私、今の素のデジャ好きよ!」「はいはい。」流してはいるが、満更でも無い様子のデジャだった。「まぁ、ガキのお守りをするのに適応したってことだ。」「はあ~~~~!?誰がガキよ!」「1コ2コしか違わねえじゃねぇかよ!!」「それぞれ自覚はあるってことだな。」「この前の山でも思ったが、動物だ洞窟だソリだーとかで一々はしゃぐのはどう考えてもガキだろ。」「ぐぬぬ…!!」「何も言い返せない…!!」「そういえば、あの山で見た花木は綺麗だったな…。」「あぁ!あのピンクの花ね!アレすごい綺麗だった~!」「ワヘイだと見ない花だったよな。」「あっちの方にはない種なのかもしれないな。」「花といえばあそこも!なんだっけ…村の名前忘れちゃったけど、名物おばあちゃんがいた村の近くの花畑!アレも綺麗だった!」「あぁ。色も種類もいろいろで、沢山咲いてた花畑だな。あれは隠れた名所だったな。」「まさに"花の絨毯"、って感じの景色だった。」「ブローニャとデジャまでほんわかしちゃってね~。」「めっちゃ優雅な時間だったなぁ…アレ。」その後も歩きながら、思い出話に花を咲かせる一行。どこの町の料理やお菓子が美味しかっただの、偶然開催されていたお祭りやショーが楽しかっただの、そこで見た花火が綺麗だっただの。「ヘザーがブローニャと間違えて、町の女の人に話しかけてたの面白かった笑」「うっ…うるせぇな!!」「大食い大会出た時、皆吐きそうになってたよな。」「みーんな青い顔してるの笑っちゃった!」「酒飲んで羽目外したら金盗まれて、4人血眼で町中探し出し回ったのとか。」「アレは肝が冷えたな…。回収できて本当に何よりだった。」「お化けが出るって話聞いた時の皆のへっぴり腰!情けなかったわね~。」「お化け強い奴が誰一人いないのが笑えるな。」「芋虫食ったのも新鮮だったな。」「いやッ!!思い出させないで!!」4人でふざけ合った時の記憶や、楽しかった記憶、笑い合った記憶―――そして共に戦い、協力し合った記憶を辿る。「…どれも、今となっては良い思い出だな。」懐かしむように微笑むブローニャ。「旅行みたいなところもあるわよね。」「はは、随分と危険な旅行なもんだ。」「確かに沢山観光したな。」「旅行ならお土産買って帰らなきゃだな!」「確かに!帰る時に買ってこうかな~!」「そういや帰りはどうするんだよ?」「取り敢えずディーンを拾っていくとして…。馬がないときついよな。」「別のルートも捨てがたいけど…。お世話になった人達に挨拶しながら帰るのもいいわよね!」「確かに!」3人のやり取りを聞いて、ブローニャは瞳に決意を宿す。「ともかく、無事に全員で帰ることが第一優先だ。」「!」その言葉に3人は、ブローニャへと意識を集中した。「…悪いが、お前たちが何と言おうと、私はそれを果たすからな。」「…ブローニャ…。」そしてブローニャは立ち止まると、後ろの3人に振り返った。「…お前らが大事だからだ。」風に髪をたなびかせながら、山の頂上で沈みかける夕陽を背に、ブローニャはどこか切なそうな笑顔で告げる。3人はその姿に儚さと哀愁を感じ、胸が詰まる思いを抱いた。「~~~~!!」咄嗟にチェリとヘザーが駆け寄り、ブローニャへと抱き着く。「うわっ!」2人を抱きとめながら、ブローニャはよろけた。「わかってるわよ!!そんなの!!私だって同じよ!!」「んだよ!!こんなところで急にクソ真面目に…!やめろよなっ!!」力強く抱きしめてくる2人の温もりを感じながら、ブローニャはデジャと目を合わせると、互いに笑みを浮かべるのだった。
――――その後もしばらく歩いていったが、頂上を目の前にして日が暮れてしまった。「足元も危ない。今日はここで野宿にしよう。夜が明けたら出発だ。」そしてフードに身を包んで、身を寄せ合いながら座り込む。「冷えてきたわね…。」「もっとくっつけくっつけ。」「お前は寄りすぎだ!苦しい!!」「しょうがねぇだろ~~!寒ぃんだから!!」いつものように騒いで笑って、寄り添いながら暖を取る。「見てみろ。星が近い。」上空を見上げると、広大な星空が4人を包み込んでいた。それを見つめながらそれぞれが考える。―――当初の目的であった『ガラクタの回収』は、もしかしたらこの先の数日後に果たしてしまうかもしれない。それから先のことは、その時に考えればいいと思っていた。だが、その見通しが立たない未来が、4人の心の奥に、不安と、寂しさを生んだ。ガラクタの正体はなんなのか、悪党達は何がしたいのか。それを知った時、自分達はどうすべきなのか。今後も4人一緒にいられるのか――…。皆それぞれに、目的があり、志があり、信念があった。4人の目指す道は、今後も変わらず同じでいられるのか。先日、互いの意志を確認できたものの、現実が、4人を思う通りの道へ導いてくれるかもわからない。そんな一抹の想いを抱えながら、4人はそのまま寝転ぶと、眠りについた。
――――地平線の向こうで朝日が昇る頃に4人は起床し、準備を整えると再び歩き出した。そして少し歩いた先で、ようやく頂上に辿り着いたのだった。「わぁ…。」真っ先に頂上に足を踏み出したチェリが、目の前の景色を見て思わず声を漏らす。その反応を見て気になったのか、3人もそれに続いて横並びに立った。「…!」「…ここが…、…リテン王国…。」4人の眼前に広がったのは、背後の朝日に照らされたリテン王国の独特の地形と風景だった。山や森の多いワヘイ王国やダイア王国とは対照的に、平地が多く、緑だけでなく土色の大地が大半を占めていた。地域によって地形や景色も異なり、南には砂漠が、西には渓谷が、北には巨大な湖が広がっていた。「なんかすごい国だな…。」「同じ国の中でも地域によって気候が異なるようだな。」「わ~~~!すごい!こっちとあっちで全然景色が違う!」皆がリテン王国のあちこちを見渡しながら感想を述べる中、デジャが山の麓のとある地点を指さす。「アレがエテマ町か?」そこに皆の視線が集まる。「そうだな。そしてあそこがテキン町だろう。」今度はブローニャが地図を見ながら指を差す。「はぁ…。テキン町でけぇな…。」「…なるほどね。一度はエテマを経由する必要があるのね。」山の周辺を迂回して伸びていく街道が、エテマを中継してテキンに伸びていくのが見えた。町同士、そこそこ距離があるように見える。「はぁ…。なんか緊張してきちゃった。」「この距離だ。山を下りる間に緊張も薄れるだろ。」「あはは、それもそうね!」「こりゃ下りるのも時間かかるな~。」「よし。時間も勿体ないし、そろそろ行くぞ。」「おう!」「まぁこれだけなだらかだし、登るよりは楽ね!」そうして4人揃って、リテン王国への足を踏み出したのだった。
それからまた数時間かけて、ブローニャ達は山を下りて行った。途中、あまりの行路にチェリが根を上げそうになったが、なんとか踏ん張り足を進めた。
――――そして、昼も過ぎ、日が傾き始めた頃――――「…ついに来たわね、エテマ町…。」町に辿り着いた4人はその入り口に並び、緊張の面持ちで佇んでいた。ようやく、盗人たちの顔と盗まれたガラクタを拝めるかもしれない。「…今度こそ、逃がすわけにはいかない。」「うん。」「見つけたらすぐに報告してくれ。」「おう。」「…それじゃあ、行くぞ。」そして歩き出す4人。注意深く回りを見回し、不審な男たちがいないか探す。小さな町だ、いればすぐにでも見つかるだろうと思っていたが、なかなかどうしてその姿が見えない。聞き込みもするが、男達を見たという人間も一向に捕まらなかった。「…まだ着いてないってことある?」「うーん…どうだろうな…。」テキンまでの距離を考えると、この時間なら、そのままテキンを目指すよりも、この町の宿に泊まって休む方が自然な筈だ。まさかもう行ってしまったのか、と不安がよぎり始めた時だ。「あぁ、それならさっき…」「!」目撃情報に皆が反応する。「さっきか!?」「え、えぇ…。あっちの方に歩いていきましたけど…。」そして4人は目を合わせて走り出した。「ありがとう!」走り去る4人をぽかんとした顔で見つめる女性だけが、その場に取り残された。―――クレアと再会した町でのことがデジャビュのように浮かびながらも、急ぎ盗人の後を追う。チェリは周囲に警備兵などがいないか警戒しつつ、盗人たちの影を探す。今回ばかりは何者にも邪魔されるわけにいかなかった。「(どこだ…。)」「(どこにいるの…!?)」前回のように逃がしてもよいという状況ではないため、焦りが増す一行。見逃さないよう、逃がさないよう、細心の注意を払って探す。そして――――…
――――「…おかしいな…。」「目撃情報があったのに何で見つからないんだよ!?」数十分と男達を探し回ったが、一切見つからなかった。4人集結して緊急の作戦会議を行う。「町を出た様子も無いようだしな…。」「急に町から消えたって!?」「そんな馬鹿な…。」「それかどこかの建物の中にいるのか…。」「…今、この町のどこかにいるのは間違い無い筈なんだ。…いや、なんかそれも自信が無くなって来たな…。」「確かにこの分じゃ、この町にいるのかも怪しいな。」「もうテキンの方面の入り口で張る?」「テキンへ向かうチームとここで探すチーム、二手に分かれるか…。」そうして4人で頭を悩ませながら、あれこれ策を練っていた時だ。「!」デジャが何者かの気配を感じ、振り返る。「…お前ら…!!」「!」デジャの反応に、ブローニャ達も振り返った。「…!!」そこには、2度に渡ってブローニャ達を襲撃し、ディーンと別れるきっかけを作った野盗の集団がいた。ブローニャ達の方を見て佇んでいる。「はあッ!?こんなとこまで!?」咄嗟に身構え、警戒を強める4人。野盗集団の中で比較的小柄な一人が、ブローニャ達に向かって一歩前に出る。「…先日は、驚かせてしまってすみませんでした。」「…!!」頭巾の奥からくぐもって聞こえるそれは、若い女性の声だった。「…こちらへ。」女は目線を後ろにやりながら、仲間へ促す。すると仲間の一人が、陰から何かを連れて現れた。それはハーネスも何もつけていない、一頭の馬だった。なぜ馬?ときょとんとするブローニャ達だったが、その馬をまじまじと見つめて、あることに気づく。「えっ…、」体色、模様、顔立ちに見覚えがあった。その瞬間、チェリは思わず両手で口元を覆い、息を呑んだ。「うそッ…!!…もしかして、ディーン…!?」チェリが名前を呼ぶと、馬はチェリの方へ歩き出した。野盗の仲間は止めるでもなくそのまま行かせてやる。「えっ、えっ!?うそっ!!」チェリが両手を広げて待っていると、馬はチェリの目の前で立ち止まり、己の額を差し出してきた。その所作は間違いなくディーンだった。「わ~~~~!!ディーンだ!!ディーンッ!!」チェリは嬉しそうにその頭を両手で包み、自分の頬をこすりつけた。そして泣きそうになりながら、笑顔でわしわしと撫でてやる。ディーンも、それに嬉しそうに応えた。ヘザーも笑みを浮かべながら駆け寄ると、その首を撫でてやった。「まじかよ!!ディーン…!!こんなところで会えるなんて…!」それに対し、ディーンはまた気持ちよさそうに目を細めるのだった。その光景に、ブローニャとデジャは嬉しさよりも困惑が勝る。「…なんで…、」そしてブローニャは、目線をチェリ達から頭巾の集団へと移した。その時、女とかっちりと目が合う。女の目線は、脳天まで射貫かれるのではと錯覚するほどに、鋭く、真剣だった。そして女は、凛とした声でブローニャに呼びかけた。「あなた方に、お話があります。」
――――「…ここは?」「空き家を借りました。」女達に連れられて、町の外れにある2階建ての建物に案内されたブローニャ達。表には、彼女達が連れてきた馬が繋がれており、その横にディーンを並べて繋いだ。「ごめんね。ここで待っててね。」中に入ると、中央にテーブルと椅子があり、周囲にはソファや本棚等、いくつかの家具も置かれていた。ついこの前まで誰かが住んでいた様子がうかがえた。「そちらへ。」女はブローニャ達をテーブルの席へ促し、自分はその向かい側の椅子に座った。彼女の仲間達は、その背後に佇む。「…」ブローニャは促されるまま、対面の椅子に座った。デジャ、チェリ、ヘザーも、ブローニャの背後に立った。「…それで、話とは?」「…その前に、自己紹介をしましょう。」そう言って女は、頭に被っていた頭巾を外した。「…!」顔を晒した彼女は、黒い肌に、長く黒い髪を携え、まつ毛の長い整った顔立ちをしていた。その素顔からは、とても野盗をするような人物には思えなかった。「私はヴィマラと言います。」「!」「そしてこちらは左から、オレリア、サイ、ムダルです。」後ろの仲間達は名前を呼ばれて軽く会釈をする。「…私は、」ブローニャが応えようとした瞬間、ヴィマラは片手を出してそれを制止した。「…わかっています。ブローニャ、チェリ、ヘザー、デジャですね?」「…!!」「なんで…、」「私たちの名前…」訝しむ4人に対して、ヴィマラは冷静に答える。「私達はずっとあなた方を追ってきました。…いえ、正確には、あなた方が追う物と、同じ物を追ってきました。」「…!?」そしてヴィマラは、再び後方の仲間へ目線で合図を送る。ムダルと呼ばれた長身の仲間は、窓際に置いてあった大きな袋を運んでくる。ヴィマラの目の前―――テーブルの上に、重量感のあるそれを置くと、その中から何かを取り出し、ゴトリと置いた。それを見て目を見開くブローニャ達。「これは…!」「…!」その目に映るは、大きく黒い、歪な塊。「ガラクタじゃねぇか…!!」ブローニャ達が数か月かけて探し求めた、"ガラクタ"が、そこにはあった。しかも、それだけではなく―――「ていうか、なんで2つもあんのよ…!?」同じようで、少し違う。瓜二つの"ガラクタ"が、並んで置かれていた。「…あなた方が追っていた男達が持っていました。…おそらく、もう1つは途中で回収したのでしょう。」「!」思えば、盗人達の動向には1つ、不自然な点があった。基本的に目的地へ向かって、常に最短ルートを進んでいた男達。だが一度だけ、温泉地を経由して迂回したことがあった。「(まさか…)」別の仲間と合流して、このもう1つのガラクタを引き渡されたというのか…?その時、ブローニャがあることに気づいた。「…男達はどうした…?」「!」ブローニャの問いかけに、チェリ達3人の中で緊張が走る。だがヴィマラは変わらず淡々と答えた。「離れで拘束して眠らせています。…後で、詳細な話を聞き出すつもりでいます。」男達が生かされているという事実に、どこか安堵するブローニャ達。だがその発言は、ブローニャ達に更なる混乱をもたらした。「…待て待て待て。わけがわかんなぇ…。そもそもなんであんたらがそれを追ってた?話を聞き出すって…。ていうか、なんであたしらにそれを見せてくるんだよ?」困惑しながら眉間にしわを寄せるヘザー。わからないことが多すぎて、何から聞けばいいか戸惑っている様子だ。その疑問を解消すべく、ブローニャはヴィマラに対して率直に質問を投げかけた。「お前らは一体何者なんだ?」その問いに、ここからが本題だとばかりに、ヴィマラは纏う空気を一変させた。少しうつむき加減で、厳かな様子を見せながら、言葉を選びつつ紡ぎだす。「…私達は、『神の遣い』の民族です。」「!?」「はあ…!?」呆けるブローニャ達をそのままに、ヴィマラは懐から何かを取り出すと、それをテーブルに置いた。古い本のようだ。「これは、私たち民族に代々伝わってきた、"神と人との記録を記した"、ただ一つの原書です。」「…!」そしてヴィマラは、その表紙の上に手を置いた。「ここには、『神の力』にまつわる逸話の"真実"が記録されています。」そして本のページを開くと、ブローニャの目を見た。「…あなた方は、このお話をどこまでご存知ですか?」神がなんだと?と尋ねたかったところだが、ブローニャは一先ず、目の前の女に話を合わせることにした。「…つい先日読んだ本で、大方の内容は知っている。」「では、『神の力』を与えられた者達が、より大きな力を求めて、神にお願い事をした…ということも?」「あぁ。その本では、神が人々へ『世界のどこかにある"鍵”を探し出し、"扉"を開くことができれば大いなる力を授ける』と伝えた、と…―――」ブローニャは自分で話している内に、まさか、という表情に変わり、思わず途中で言葉を失った。それを見た3人も察する。――そんな馬鹿な。まさか…冗談で言い合っていたあの内容が?そんなこと、ある筈がない。――4人の様子を見て、ヴィマラ達はその思考を見抜いた。「…それなら話は早いですね。」そしてページを捲り進める。そこに書かれた内容を要約しつつ、ヴィマラは読み上げていく。「…ここには、『神が人々へ鍵を探すよう指南した直後、遥か天の向こうから何かが降ってくるのを見た』、と書いてあります。そして―――…『その降ってきた"何か"は、上空で砕けて"十数個もの欠片"となり、各地へ散らばった』―――とも。」「……まさか…!」「えぇ。その内の2つが、こちらです。」そう言ってヴィマラは、2つの"ガラクタ"に触れた。「…!!」「これは、逸話―――…いえ、古の記述に出てくる、"鍵の欠片"なのです。」そう告げた彼女の表情は、おふざけでも、作り話でもないことを物語っていた。真剣な眼差しで、まっすぐとブローニャの目を見つめていた。そして再び視線を本に落とすと、ページを捲った。「…私たちの祖先は、『神の力』を得た人間の中でも、穏健派の一派でした。」そして本の最後にはこういった記述がされているという。「彼らは、神から欠片の一つを手渡された上で、『結末はあなた方が決めなさい』と仰せつかったそうです。私たちの民族は代々その教えに従って、この話と神の意志、そして欠片を、継承してきました。…欠片が一つでも足りなければ、鍵は完成しません。決して悪しき者の手に渡してはならないと、授かった欠片を大事に大事に守り抜いてきました。長い歴史の中で、残りの欠片を確保することも検討されましたが、欠片が落下した場所に関する手掛かりは殆どなく、それを探すための人員も集めることができませんでした。そもそもが"触れてはならない"ものであろうことに加え、この『神の力』の逸話を知る者や、それを有する者が年々減っているという状況もあり、"そっとしておくべきだ"との決断を下したのです。ところが…」ヴィマラは本から手を退かせて、俯いた。「ここ数年で、例の悪党組織が急激に勢力を増し、この"欠片"を集めているという噂を耳にしました。…そこで我々は気づきました。もしかすると、ここに書かれた逸話の真実を彼らは知っているのかもしれない、と。そして、『神から与えられし大いなる力』を手にするために、"鍵を完成させる"つもりなのではないかと。」「…!」「実情を調べるべく、私たちは民族内の仲間を数人、悪党組織へ密偵として潜り込ませました。ですが既に悪党組織は巨大化しており、その上層部については人も居所も不明で、簡単に接触できないような組織構造が出来上がっていました。下の組織の者は、上からの『欠片を集めろ』という命に従い動くだけで、その理由までは知らないというのが現状です。そうして潜伏しながら内情を調査する中で、私たちはとある情報を入手しました。それは―――…『ワヘイ王国の城の倉庫に、欠片が保管されている可能性が高い』という内容でした。」「!」ブローニャ達の錯綜した思考が、その1点によって一気に引き戻された。「彼らは古物商等の情報網を利用して、欠片の情報を集めていました。その内の一つが、ワヘイ王国の宝だったのです。」そこまではきはきと説明していたヴィマラだったが、そこから少しトーンを落とした。「…彼らの真意はわかりません。…ですが、その行いを知れば知るほど、欠片の集約によりもたらされる力は、彼らにこそ渡してはならないものだと強く感じました。そして確信したのです。私たちは、彼らよりも先に、少しでも多く欠片を集めなければならないと。」「…」「…私達は、ワヘイ王国にあるという欠片を求めて、東へ向かいました。」ヴィマラは、自らが与える膨大な量の情報を、ブローニャ達が処理しきれていないことを察していた。だが、ひとまずは顛末を伝えきらなければと、そのまま話を続ける。「ここで一つお伝えしておかなければならないのが、私の『力』についてです。」その言葉に、ブローニャ達4人の視線がヴィマラへと集中する。「私には、『神の力』を"感知する力"が備わっています。民族の中でも、ただ一人に与えられし力です。…故に私は、『巫女』として扱われています。」そこで4人はヴィマラがリーダーのような振る舞いをしている理由に気づいた。「『神の力』を感知…だと?」「えぇ。正確には、"『神の力』を宿す対象がわかる"力です。…私は、『神の力』を目で見たり、気配として察することができます。そして、力を持つ者と、持たざる者を見分けることができる。例えばブローニャ、チェリ、ヘザー。あなた方3人は『神の力』を持っていますが、デジャ、あなたにはありませんね。」「…!」「そしてもう一つ大事なことが。…この、私たちの目の前にある"鍵の欠片"にも、『神の力』は宿っています。」「…!」「私は、人の持つ『神の力』と欠片に備わる『神の力』を、区別して感知することができません。…故に、荷馬車に乗るあなた方の『神の力』を、欠片のそれと誤認してしまいました。」「!まさか…、」「えぇ。一番最初の…ワヘイ王国の城下町の近くであなた方を襲撃した時…。私達は、あなた方こそが『城から欠片を奪った悪党』だと認識していました。」「…!」ブローニャ達はヴィマラ達に襲われた時のことを思い出す。「『悪党組織の一派が、ワヘイ王国から欠片を盗み出すかもしれない』という情報と、リテン王国方面に向かう荷馬車…そしてそこから感じる『神の力』…。その上、女性4人だけであんな道を進んでいるだなんて…正直、不審に思いました。悪党達と手引きしている運び屋なのではないかと。」ヴィマラの発言に、どこかバツの悪そうな表情を浮かべる4人。「…あなた方もご存じの通り、『神の力』を持つ人間の数は極少数です。それが3人もいるとは私も…。」そこまで言ってから、申し訳なさそうに俯くと「…これはただの言い訳ですね。」と訂正する。「…ともかく、」そう言って、ヴィマラはその場で立ち上がった。「…あの時は、申し訳ございませんでした。」そう言って頭を下げた。それに倣って、後ろの仲間達も頭を下げる。突然の振る舞いにブローニャ達は目を丸くする。「私の早合点で、確認もせず、いきなりあなた方を襲ってしまい…。大変不躾だったかと思います。心からお詫びします。」しばらく頭を下げた後、ゆっくりと顔を上げた。「…彼らは、私の命に従っただけです。全ての責任は、私にあります。」仲間達も顔を上げた。その謝罪には、ブローニャ達に無作法を働いたことに対する負い目と、誠意が感じられた。だが、ブローニャ達からすると、その結論に至った理由がまるでわからなかった。「…その後、私達を信用した理由はなんだ?」ブローニャ達が悪党組織の仲間である可能性も捨てきれなかった筈だ。それがどうして、こうして打ち明けて謝罪するまでに至ったのか。その根拠が知りたかった。ヴィマラは閉じていた目を開くと、過去を辿るようにして再び話し出した。「最初に…チェリ、あなたの力を見て、もしかしたらあなた方が"『神の力』を持っているだけの、ただの一般人だったのかもしれない"と思い立ちました。…私の、ただの誤解であったかもしれないと。…そしてそれを確かめるべく、私達は城下町に向かい、情報を集めました。その時に、欠片がすでに盗まれていたこと、あなた方が、盗まれた欠片を取り返すために派遣された使者であることを知ったのです。」ヴィマラは再び椅子に腰を下ろした。「私達は後を追うように、あなた方の辿った経路を進みました。その中で、あなた方が通り過ぎる町や村で、『神の力』を使って"正しい行い"をしてきたことを知りました。『神の力』を悪用するのではなく、良い方法で活用する。…それだけで、信用に値すると判断しました。」「…」「そしてあなた方に接触しようとあの山に向かったのですが―――…裏目に出てしまいました。」ブローニャ達はヴィマラ達を野盗と誤認し、逃げ出してしまった。挙句、ディーンを失い、道に迷って足止めを食ってしまった。「ディーン…彼とはあの後、森の中で遭遇しました。」「!」「暴れ回ってようやく落ち着いた彼は、私たちが近づいても警戒しませんでした。…ハーネスが重そうだと思い、外して解放してあげました。…勝手ながら、このまま自然に還してやるのも良いかと思い、そのまま放っておいたのですが…。…でも彼は、先を進む私達の後ろをついてきました。…まるで、私達があなた方を追っていたのを、知っていたかのように。」「…!」「…あなた方は、私たちのせいで道を逸れてしまった。このままでは盗人達との距離も広がってしまう一方だと思いました。…そこで私達は、あなた方よりも先に彼らの元へ辿り着き、欠片を回収することを優先したのです。…この町に辿り着いた時、すでに彼らはいました。そして眠らせて、この欠片を回収したのです。」言うべきことは全て話したのだろう、ヴィマラはそこまで言うと一度口を噤んだ。「…以上が、私達の正体と、事の顛末です。」そして、その場に沈黙が落ちた。重々しい雰囲気の中、誰も、何も言わない。何から言うべきか迷っている、とも言うべきか。暫くして、ヘザーが顔を引き攣らせながら笑い出した。「…っはは、…おいおい…。そんな話信じろってのかよ?神の遣いだ、感知する力だ…――そんな馬鹿げた話をさ。」ヘザーの反応は無理もない、とでもいうようにヴィマラは目を伏せながら答える。「…難しいことだとはわかっています。証拠も…この本と、私の力しかありません。ですが今お話ししたことは…紛れもない、どうしようもない真実なのです。」そして再び静寂が訪れた。すると、ブローニャが静かに口を開く。「…この話を私たちにして、お前たちは何がしたいんだ。」ヴィマラが顔を上げると、腕を組んだブローニャが、厳しく、見定めるような目をしてこちらを見ていることに気づいた。ヴィマラは冷や汗をかきながら答える。「協力していただきたいのです。」「!」「悪党組織から欠片を取り戻し、彼らの思惑を止めることに。…あなた方の戦力は、この旅の中でよく理解しました。彼らと戦うには、あなた方の力が必要だと判断しました。…是非、味方になっていただきたいと思い、この話をしました。」「…お前達に協力して、私達に何の利点があると?」珍しくブローニャが冷淡な態度でヴィマラ達の提案をはねつける。そしてふうと軽くため息をつくと、その意図を話し出した。「…お前達は私達を信用してくれているのかもしれないが、私達は違う。」「…」「今の話も、この本の内容も、いくらでも作ることはできるからな。」ブローニャの言葉に、"オレリア"と呼ばれた仲間が一歩前に出ようとする。が、ヴィマラがそれを制止した。ブローニャが続ける。「この"欠片"とやらの真の価値や用途がそうであるという明確な証拠はないし、お前たちが悪党どもの仲間である可能性や、あの盗人達と結託して私達を欺こうとしている可能性も捨てきれない。寝首をかかれる危険がある以上、私はお前達と協力はできない。」「…」デジャはブローニャの横顔を見る。ブローニャも、仲間を守る立場にいる以上、慎重にならねばならなかった。「…確かに、私達が彼らの味方ではないと証明することは、…できません。」ヴィマラは目を伏せ、苦しい表情を浮かべる。ブローニャはヴィマラの、しばらく待っても言葉が出てこない様子に痺れを切らすと、「それなら話は終わりだな。」と言って立ち上がる。だがそれでも、ヴィマラは何も言えずにいた。「これは返してもらおうか。」ブローニャが欠片の一つに手を伸ばした時だ。咄嗟にヴィマラが立ち上がり、その手を抑える。「…これをお渡しすることはできません。」「…何?」ブローニャの目をまっすぐ見つめながら、その手を離すことはない。「…危険だからです。いつ何時、彼らがこれを狙って襲撃してくるかわかりません。それにこれは…城の地下倉庫に放っておいてよい代物ではありません。」それは、今までの彼女の発言内容から察するに、ブローニャ達の身を案じてと、悪党の手に渡る危険性を考慮しての発言のようだった。だが同時に、欠片を渡したくはないがための言い訳とも取れた。ブローニャとヴィマラは双方睨むように見つめ合う。ヴィマラの背後で、仲間達が武器に手をかけるのが見えた。それを見てデジャも懐の武器に手を伸ばす。張りつめた空気の中で行われる、緊張感のある駆け引きに、チェリとヘザーもごくりと唾を飲み込んだ。引くか、押すか―――。どうするべきか、その場にいた全員が考えあぐねていた時だった。「ぶっ…、ブローニャ…!」チェリの呼びかけに、全員の視線が集中する。「…も、もうちょっとさ、話をしてみない…?」「!」しどろもどろになりながら、彼女は自分のリーダーへと提案をした。「ディーンをここまで連れてきてくれた恩もあるし…。このままハイさよなら!ってのも、なんか…悪いっていうか…。」「…それがこいつらの作戦である可能性だってあるんだぞ。」「!」恩を売って協力してもらう。悪党共の常套手段だ。ブローニャはチェリに現実を教える。だがチェリは、珍しく引かなかった。「…私には、この人が嘘をついてるとは思えない…。」「!」「…それに、ブローニャだって言ってたじゃん!『協力者は多い方がいい』って。」「…」「そんなに大きな組織を相手にするなら、私達だけじゃどうしようもできないわよ!…それに、この人たちの話が本当なら――…っていうか真実が何にせよ、その欠片っていうのを悪党達に渡しちゃいけないっていうのだけは、きっと本当なのよ!!」「…」「チェリ…。」チェリの言葉の数々に、ヴィマラの瞳が揺れた。その瞳を見たチェリは、ブローニャに頼み込む。「な、なんかあったら私が責任取るから!!私が責任もって、皆を守るから!!」今度はその言葉に、ブローニャの瞳が揺れた。チェリは次にヴィマラ達に向かって言い放つ。「でももし、あんた達が何か悪だくみしてたり、私達を騙そうとしてるなら、私は絶対許さないし、すぐに解散だからね!!」チェリの言葉に、場が静寂に包まれた。だが、その空気は先ほどまでのように剣呑なものではなくなり、些か穏やかなものに変わっていた。―――チェリは、もしこれが味方を増やすチャンスなのであれば、逃してはならないと思っていた。自分達も力をつけてきたと自負しているが、たった4人では出来ることなど限られる。特にこの、リテン王国の広く果てしない世界を見て、できることを増やす選択をしたかった。それは全て、3人の仲間を守るため、そして、デジャとヘザーの目的を果たさせてやりたいという思いからきていた。ブローニャと方針は違えど、その想いは同じであった。「…」ブローニャはちらりとヘザーとデジャの顔を見る。2人はその真意に気づく。「…あたしはチェリに賛成だぜ。」「…私も、特に異論はない。」「…」「2人とも…。」2人が賛同してくれるのは予想外だったチェリ。ヘザーもデジャも、チェリとブローニャがそれぞれの選択に至った意図に感づいていた。「…」ブローニャはヴィマラの目を見た。ヴィマラも、ブローニャの瞳が選択に揺れていることに気づく。そしてきゅっと顔を引き締めると、ブローニャに向かって宣言をした。「…決してあなた方に危害は加えないと、裏切らないと約束しましょう。私達は、あなた方に包み隠さず真実のみをお話します。…私達は皆、志は同じ筈です。」「…」「…私達は、この世界の平穏を守りたい。…それだけです。」ブローニャとヴィマラは、先ほどとは違い、どこか落ち着いた柔らかい視線で互いを見つめ合う。しばしそうした後、ブローニャはゆっくりと目を閉じた。「…わかった。」「!」そう言ってブローニャは欠片から手を離すと、再び椅子に腰かけた。そんなブローニャに対して、ヴィマラは提案をする。「…私達が信じられないと言うのであれば、欠片は一時的にお返しします。」「…あぁ。…それから先に言っておくが…。」「…なんでしょう。」「この3人を傷つけるような真似をすれば、…私は決して、お前たちを許さない。」「!」ブローニャのその目に容赦はなかった。「…もちろん、お約束します。」そうしてブローニャとヴィマラは、暫定的な結託をしたのだった。互いに握手をし、その証を取り交わした。